2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧
夏の匂いがする。 君は黄色のクレヨンを持って。 画用紙一杯の向日葵を描く。 君の横顔は微かに笑っていて。 僕の方など見もしない。僕は水色のクレヨンを持って。 君の向日葵に青空を描く。 雲一つ無く。 言葉一つ無く。 君は僕など見ない。 見ているのは真…
眩暈。クラリ。ヒラリ。フワリ。 サングラス越しに見える、ギリギリまで短くしたスカート。 僕の手を取って。 ヒラリ、揺らぐ世界。 猫みたいな着地。 14段の階段の、その先に見える世界。
誰もが皆、歩いて行く道程。寂しくてどうしようもない時は、電話をして。
閉め切った真夏の部屋。たゆたう倦怠。無造作に伸びた真っ黒な髪。皺の入ったシャツ。 指にはマルボロ(赤)。 この胸を刺す衝動に、わたしはその袂に唇を寄せた。 ニコチンと、コーラみたいな夏の匂い。「邪魔だよ、ジョシコーセー。」 「だって堪らないん…
巧妙な罠を張って、貴方が引っ掛かるのを待っているのだけれど。 多分、貴方は仕掛に気付きもしないで 堂々と擦り抜けていくのでしょう。 『だって、私から云ったら、私の負けじゃない。』
ぱしゃり。30秒。 現れた私の笑顔はまだ少しひきつっている。(Sometimes only pictures will remember our good old days.)
遠雷の音がします。嵐が来ます。 机の下で毛布を被って、じっとしていればその内過ぎるでしょう。 あなたの大きな手なんて要りません。
貴方のトランキライザーなんて、全く御免だし、 呑まれてしまうのなんて、一瞬たりともお断りだ。でも、これからも僕は、貴方からの電話に出てしまう。 型落ちの携帯電話のボタンをなぞる親指。これが、『こいごころ』というものなのならば、 全くこの不公平…
ひとつ、我が儘を云っても良いかな。 君を包むその殻に瑕を付けたいんだ。 その柔らかい頬にさわって、静かに、静かに。
・・・何だろう、何かを一生懸命売っている声。 ああ、深夜のTVショッピングか。私の身体を抱き締める手が熱を帯びている。 規則正しい吐息。ああ、TV点けたままだったのだな。 明日は日曜日だっけ。 身体が重い。 ・・・・そんなにしたっけ。眠い。急速に冷…
大学の夏学期試験も終わりかけの金曜日、11号館の階段の下で、 めずらしい人を見かけた。(二週間振りだ。)ふと、こちらを見た彼は、気まずそうな様子も見せずに、手に持ったハイライトを再び口に付けた。 しなやかな指先。「・・・煙草、吸うんだ。」 「・…