2020-12-13 025:のどあめ 小説 学校でずっとマスクをしているあの人が鞄の中に持ち歩いているキャンディ。オーストラリアの友人に貰ったんだ、と少しはにかんだように笑って、緑色のラインの入った外包紙から、一つ丁寧に取り出して、手渡してくれる。 白くて滑らかな手、細い指、ゴールドの細いリング、アルファベットの入った白いキャンディの包み紙、薄黄色のキャンディ。 学校の廊下に差し込む白い光と共に、この一瞬を、いつまでも、覚えているのだ、と私の自意識が話しかける。