019:ナンバリング(番号を振ること)
警察に捕まって、牢屋で首筋に番号を入れられた。
―― 128番。
5年間、愛しているひとには会えず、128番の刺青の痕だけを手で追いながら、
強制労働に耐え抜いた。
牢屋から解放され、僕は今でも無実の罪だと思っているけれど、
128番の刺青は少し薄くなっただけだ。
愛していたひとは、5年のうちに別の家族を築いていた。
もう会いに行くこともない。首筋をなぞると、128番の痕が浮かび上がる。
僕が週末に会っている女の子は、128番の刺青に丁寧にキスしてくれる。
舌が這う、一瞬の官能。
もう、愛しているひとではないけれど、僕は丁寧に彼女の唇にキスを返す。
幻影の肢(Phantom Limb)をいつまでも追いかけている。